Saturday, January 29, 2011

歌词收集:賢者のプロペラ - 平沢進(2000)

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賢者のプロペラ
平沢 進

難関
あるミャンマー人が私に言った。
「あなたはミャンマーの錬金術師に会うべきだ」
「あなたは秘密めいた事を考え、人々を楽しませている」
「あなたはきっと錬金術師の秘儀を理解し、すぐに銅を作り出せるはずだ」

光栄だが、それはまったくの過大評価だ。

私は、隠喩としての「銅」程の価値も持ち合わせない「俗人」だが、
「ヒラサワ」の世間体を形作る「音楽」の力が、
かのミャンマー人に世離れした印象を与えたのだろう。
しかし、それは少しも不思議なことでは無い。
音楽は、一人の俗人の中にすら「黄金」を予感させる。

しかし、我々はこの100年間、その「黄金」にかまける時間を与えられなかった。
”黄金”(所有の対象となる魅惑の物質たち)が量産され、
我々を「良き消費者」として24時間包囲し続けたからだ。
この馬鹿げた世紀から学び、もしあなたが21世紀へ渡ろうとするなら、
次の難関に挑まなければならない。

黄金への到達に不可欠、かつその発見は最大の難問とされる「賢者の石」、
その代替品を今世紀の技術は量産できたのか?
開店する樹脂板を電子の炉に入れ、そこから自らの黄金を取り出すこと。

しかし、音楽は今もなお、代替錬金術である。

 平沢 進


01:賢者のプロペラ-1

コリア 花咲く 火の舞うように
ロシア ツンドラに水をたたえ
メトロでキミとすれ違う朝

ザンビア 激しく命照らす
インディア 夕闇に黄泉を守り
凛々しく帰る人波の夜

見えるか黄金はここに在りて
遍くテラを行くキミを飾るよ
眠らない賢者の眼差しで
空が晴れる日に

Gloria 高くと身を打ち行き
Gloria 深くと目を閉じ聞く
メトロでキミとすれ違う朝

見えるか黄金はここに在りて
遍くテラを行くキミを飾るよ
眠らない賢者の眼差しで
空が晴れる日に
激しく風を受け人知れず

回り出す賢者の回転翼が
訪れる昼夜の不可思議で
キミを連れて行くよ


02:ルベド(赤化)

見よ赤色 果てない夕陽の色合いで
OH 見よ赤色 止まない花の輪唱で 


沈黙は荒涼の庭を守る番人のよう
遠くから聞こえた難関に泣く声に
花は咲いて庭に惜しみなく
黄金の伝言を万全なほどにキミに見せて


饒舌に豊饒の庭で眠る老夫の夢に
生まれたあの日の完全な歌聞こえ
花は枯れて庭に淀みなく
黄金の旋律を旋風のように吹き上げて
見よ赤色 果てない夕陽の色合いで 

OH 見よ赤色 止まない花の輪唱で
OH 見よ赤色 果てなく回る輪の上で
OH 見よ赤色 朽ちない園の色合いで

悠々とたなびく草はキミを象るよう
遠くから届いた断崖に立つ影に
花はそよぎ雨の潤いを呼ぶ

黄金の時は来て
万全なほどにキミに降る
見よ赤色 果てない夕陽の色合いで

OH 見よ赤色 止まない花の輪唱で
OH 見よ赤色 果てなく回る輪の上で
OH 見よ赤色 朽ちない園の色合いで


03:ニグレド(黒化)

広場まで 急いで行け
夕陽の間にひれ伏して
終わる日よインディオに見せたように
鳴らせ陰りを咲く園への声


陽を浴びて 向かうキミの
喝采の声に消えそうな
月を見る巡礼の道端で
歌う王国への微かな歌


夜が来る底無しに来る
轟音のマシンの上に
古に知られた国へ
君をまた迎に降りる


始まりは世界中に
夜の香を撒いて麗しく
夕闇よインディオに見せたように
影の王妃の声運べ人へ


夜は来る底無しに来る
轟音のマシンの上に
古に知られた国へ
君をまた迎に降りる

夜が来る底無しに来る
轟音のマシンの上に
古に知られた国へ
君をまた迎に降りる


04:アルベド(白化)


05:円積法

Hi toneからLo toneへ
あの階段を降りてイヤーイヤー
サインアップはフィメイルかつメイルの狭間でイヤーイヤー
壮絶の花嫁を見たか?


街行く炎の戦車駆り
慈悲の色に染めたマサイのドレスで


1000トンから億トンの
雨ほどの潤いをイヤーイヤー
メイクアップの目元かつシャドーの陰りにイヤーイヤー
洪水の花嫁を招く


隠れてビルの谷間から
森の磁気で回るホピ族の歌で


Lo toneからHi toneへ
あの階段を上りイヤーイヤー
サインアップはフィメイルかつメイルに見せかけイヤーイヤー

行列の人波を見たか?
街行く炎の戦車駆り
慈悲の色に染めたマサイのドレスで


06:課題が見いだされる庭園


07:達人の山

花は蒔かれた何万も キミの行く道の上
無き者のように目を閉じて呼びかけた遥かから
愛のような日が怪力で来る


街をまたいで吹きあがる何万の電光は
石くれに住む黄金の沈黙の歌い声
愛のような日を怪力で招く


川沿いに立ち断念の日を焼いて暖を取れ
遥か遠くで達人のキミを呼ぶ琴の音に
愛のような日が怪力で来る


08:作業(愚者の薔薇園)

雲を見て 深く息のコスモに
はしごを架けあの庭園に
雷鳴で開くゲートにオイルを注し
ライオンの羽根を陽に干して


聖堂に正しく降りる慈悲と
嗚咽など滝に届くように
日の出の煤を遥かへ吹き飛ばして
月夜の錆をかきわけて


空虚には気高き雨を招く
段取りの図柄の噂をたてて
マントラで駆ける竜の毛並みをとき
タイフーンで迎えが来るまで
雷鳴で開くゲートにオイルを注し
タイフーンで迎えが来るまで


09:ロタティオン(LOTUS-2)

黄金の月 草の露に幾万も昇り
唯一に来る夜の牢で打たれるキミの夢に咲く
瞬く間にも数千の朝よ訪れよ
パラレルに行く船団に全てキミの日を乗せて


ランダムに行く雲のように生まれてたはずと
千年を知る君の声が全ての月に木霊する


咲け輪廻の OH
咲けロータス OH
響け千年よ OH
響け毎秒に OH


遙かな過去 遙かな今日 明日さえもここに
黄金の日は一度に有る 忘れたキミが目覚めれば
パラレルに行く星の今を隠喩のように映す
ランダムに咲く花の野辺に 全てのキミは記されて


咲け輪廻の OH
咲けロータス OH
響け千年よ OH
響け毎秒に OH
咲け輪廻の OH
咲けロータス OH
響け千年よ OH
響け毎秒に OH


10:賢者のプロペラ-2

赤色の塔を削る風は吹き
キミの空に塵と舞い 誰も見ぬ
意匠で語り 胸打つ程の 遠くから
応えよと届く


群れ立つ塔は ただ時を浴びて
夕日を背に淡々と 宇宙を掘る
風車を見たか? 鞭うつような賢者と
人知れず今日も


聞こえるか?
空を鳴らし
生まれる
今日の音


過去に忍ばせた今日を送り出す
胸打つ程古の 知恵を掘る
賢者を見たか?鞭打つような姿で
人知れず今も

聞こえるか?
空を渡り
生まれる
この音

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